2主力ブランド「ふじっ子煮」は、2024年3月期において値上げ後の販売数量の減少が懸念されましたが、ブランド価値を訴求する TVCMを放映したことや、クックパッド㈱と共同開発したレシピをパッケージで訴求するなど、店頭とも連動しながら需要創造に取り組んだ結果、当ブランドに対するお客様からの圧倒的な支持は維持され、心配された販売数量は前年を上回って推移しました。これは全社利益にも大きなインパクトを与えてくれるものでした。このことから当社にとって「ふじっ子煮」は基幹ブランドであることを改めて再認識し、引き続きシェアを高める活動を進め、ブランドという知的財産の承継に取り組みます。しかしながらその好調さとは裏腹に、昆布事業は原藻の枯渇問題を抱えております。温暖化による海水温の上昇がその原因のひとつとされており、まだ手探りの段階ではあるものの、養殖技術の進歩や高水温でも育つ昆布の研究など、リーダーメーカーの使命として対応が必要と考えます。他社においては、環境保護の観点から海藻の可能性研究を進めていることを確認しております。当グループは『フジッコ2030』ビジョンにおいて環境保護ビジョンも掲げており、昆布をはじめとする海藻の研究にも使命感を持って取り組み、新たな事業開発の可能性を探りたいと考えております。3当グループにとって「成長の芽」と位置付けているのは、素材事業、通信販売事業、海外事業の3つであります。それぞれ現状の事業規模に大小はあるものの、この芽をいかに早く成長させるかが課題であります。事業成長のスピードアップのために、まずは具体的な実行計画として事業推進図を描きます。その計画に基づき経営層による高度な意思決定のもと、適切なリソース配分を促し、PDCAのマネジメントサイクルを回してまいります。4DXの取り組みは3年目となります。これまでの2年間で全社にまたがる非効率な事務手続きをすべて洗い出し、データを連携することで目指すべきビジョンを明確にしてまいりました。ビジネス変革をもたらす当社ならではの最適なデジタルのあり方について、経営企画部内に設置したDX推進グループが中心となって導き出し、現在までにそれら仕組みの実装が完了しております。2025年3月期は、実装した仕組みの運用が始まります。運用開始にあたっては各本部が主体となるべきと考えており、各本部内に専門部隊を設置し、DX推進グループが支援する形で全社への展開を進めてまいります。5営業利益は最高益を打ち出した2018年3月期をピークに、稼ぐチカラは残念ながら右肩下がりとなっております。この背景に経営環境の変化が要因としてあるものの全体的な収益性の落ち込みに対しては、各事業ごとの収益力改善が必要と考えます。事業部長には、プロフィットセンターの責任者としての自覚を持ち、市場で打ち勝つためにトータルのコスト競争力を高め、上場企業としての責務である資本コストや株価を意識した経営の実現に主体となって取り組むことを期待しております。6働きがいとは、「働きやすさ」と「やりがい」の掛け算を指しますが、「働きやすさ」として、まず働きやすい就労環境を適時適切に整備してまいります。報酬面においても頑張った人が頑張った分だけ報いられる制度設計を、取り巻く環境に応じて柔軟に進めます。次に「やりがい」ですが、一人ひとりが能力を発揮してモチベーション高く成果を生み出すには、ミドルマネジメント層がそのカギを握ると考え、マネジメントのあり方を「管理」から「支援」に変えていきます。マネジメントの変革を皆が意識するため、ミドルマネジメント層の教育に注力します。特に、上司と部下のコミュニケーション量を増やすことが大切であると感じており、1on1※ミーティングの機会を設定するなど、個人のキャリア自律を促せるよう会社としてしっかりサポートしてまいります。※ 1on1…上司(マネジャー)と部下が1対1で行う定期的な面談のことで、 対話を繰り返すことで互いを理解し、部下の成長をサポートする。昆布事業のさらなる強化「成長の芽」の事業推進DXの推進(3年目)稼ぐチカラの復元働きがい改革代表取締役社長執行役員 福井 正一12
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